カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Theri】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2016/05/04 21:28   >>

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 ヴィジャイの話題の新作【Theri】をやっと観て来た。
 何が話題と言って、ヴィジャイが出ていること自体が話題なのであるが、他に一つ挙げるとすると、ミーナーの娘が子役でデビューしていることだろう。私は【ムトゥ 踊るマハラジャ】でインド映画に嵌ったくちではないが、同作品でミーナーを見て以来彼女のファンになり、それは細く長く今も続いている。そんなわけで、その娘ということなら、たとえ幼稚園児であろうと、見ておきたいと思った。
 監督は【Raja Rani】(13)で評価されたアトリ。同作品はなかなか面白く、ヒットもしたが、あのロマンチックな映画の作り手がヴィジャイの警官アクション物?という疑問がまずあり、どうなるのか気になるところだった。

【Theri】 (2016 : Tamil)
脚本 : Atlee, Ramana Girivasan
監督 : Atlee
出演 : Vijay, Samantha, Amy Jackson, J. Mahendran, Baby Nainika, Raadhika Sarathkumar, Rajendran, Prabhu, Azhagam Perumal, Stun Siva, Kaali Venkat, Manobala, Sunaina(特別出演), 他
音楽 : G.V. Prakash Kumar
撮影 : George C. Williams
編集 : Anthony L. Ruben
制作 : Kalaipuli S. Thanu

題名の意味 : 火花
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : アクション
公 開 日 : 4月14日(木)
上映時間 : 2時間38分

《 あらすじ 》
 ケーララでベーカリーを営むジョーセフ・クルヴィッラ(Vijay)は幼稚園に通う娘のニヴィ(Baby Nainika)と二人暮らし。仕事仲間にはラージェンドラン(Rajendran)がいた。ジョーセフは非暴力主義者で、少々の問題が起きても平和に解決していた。ところがある時、ジョーセフとニヴィはちょっとした経緯で地元のヤクザに睨まれることになる。ニヴィの幼稚園の先生アニー(Amy Jackson)はこの件で警察に被害届を出すが、なぜかジョーセフは警察署へ行ってサインすることを嫌がる。アニーはジョーセフの正体に疑問を抱く。そんな時にヤクザたちがジョーセフ親子に危害を加えようと襲撃する。ジョーセフはヤクザたちをなぎ倒すが、それをアニーに目撃されたため、彼女に自分の過去を語って聞かせる。
 ・・・
 遡ること数年、ジョーセフは本名をヴィジャイ・クマールといい、チェンナイで警視副総監をしていた。ヴィジャイはラージという女性がレイプされ、死亡した事件を捜査していたが、結果、州大臣ワナマーマライ(J. Mahendran)の息子アシュウィンの仕業だということを突き止める。ヴィジャイは逮捕状を請求するが、逆にワナマーマライにはぐらかされてしまう。義憤に燃えるヴィジャイはアシュウィンを殺害し、死体を橋の上から吊るす。そして、ワナマーマライに自分が殺害したことを暗示する。
 ヴィジャイには医大生のミトラ(Samantha)という恋人がおり、彼女の父の反対にもかかわらず、二人は結婚し、娘のニヴィをもうける。ところがある夜、息子の件で復讐心に燃えるワナマーマライが弟ラトナム(Azhagam Perumal)や手下を引き連れ、ヴィジャイの家を襲撃し、ミトラとヴィジャイの母(Raadhika Sarathkumar)を殺害する。ヴィジャイと赤ん坊のニヴィは何とか生き残る。ヴィジャイは自分は死んだことにし、ニヴィを連れてケーララに移住し、名前も変え、部下の巡査ラージェンドランとベーカリーを始めた、というわけであった。非暴力主義は、妻のミトラが今わの際に遺した願いであった。
 ・・・
 ある日、ニヴィが幼稚園の遠足に参加し、バスに乗り込む。ところが、そのバスが川に転落してしまう。実はこれは事故ではなく、ヴィジャイとニヴィが生きていること、そしてその所在を知ったワナマーマライが仕組んだ罠だった。その場は何とかヴィジャイらがニヴィを含む幼稚園児を救出するが、ワナマーマライはなおもニヴィの命を狙うとヴィジャイを脅迫する。これでヴィジャイは非暴力の縛りを解き、ワナマーマライとその一味にカウンターアタックを仕掛ける、、。

・その他の登場人物 : 警視総監シビ・チャクラヴァルティ(Prabhu),警官カリカラン(Stun Siva),警官ガネース(Kaali Venkat)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★★☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・めちゃめちゃ面白かった。しかし、いたく満足して帰宅したのに、各レビューを覗いていみたら、思いのほか評価が低かったので、がっかり。またこのパターンか。

・確かに終盤は退屈だった。ストーリーはありがちな復讐物なので、クライマックスにはパンチがほしいところだったが、盛り上がらなかった。「幽霊」による殺害とか、「吊るし」とか、不気味なイメージのアイデアは面白いが、何せ悪役である州大臣ワナマーマライ(J. Mahendran)が年寄りすぎたのがまずかった。かなり憎たらしく演じていたが、あと5年で死にそうな老人を殺ってもなぁ、、。

・ストーリーが単純で、ありがちなのは問題ないとして、それでも脚本に理不尽な点があり、評価を落としてしまった感はある。私的に消化できないのは、なぜヴィジャイ・クマール(Vijay)はあんなふうにレイプ犯のアシュウィンを殺害(私刑)してしまったのか、ということで、いくら娯楽映画だといっても、あそこで一気に知的レベルを落としている。インドの娯楽アクション映画が無茶をするのは歓迎だが、これは無茶のしどころを間違えているように感じた。ヒーローが一般人なら受け入れられても、警官(しかもDCP)というのはまずい。

・ただ、娯楽要素はうまく機能していて、一つ一つが楽しい。一番良かったのはヴィジャイに2相を演じさせたことだろう。ケーララに暮らす気の好い父親にしてベーカリー店主と、チェンナイの剛直な警官と、それぞれうまく見せている。(もう1相、ラダックに暮らすダルメーシュワルというのもあるが、あれはファンサービスみたいなもの。)

・「幽霊による殺害」というアイデアも面白いと思った。最近のホラー映画のブームはこんなふうにも映画に反映されるんだ。しかし、演出をもう少し本物のホラーっぽくしてもよかったと思う。

・アトリ監督は誰が見てもタミル人だと気付きそうなタミル顔をしているだけあって、本作もこれがタミルの娯楽映画だ!みたいな純度の高いタミル・テイスト。アトリ監督はマドゥライ出身らしいが、南タミル出身の監督の作品には概ねタミル魂みたいなものが感じられて、好きだな。

・意図的にタミル映画的ガジェットを寄せ集めたようにも見える。例えば、母子センチメント、父娘センチメント、社会的マイノリティー(児童乞食、侏儒、キリスト教徒、等)、社会悪(レイプ殺人、無謀運転、等)など。しかし面白かったのは、これだけタミル映画のお馴染みの道具立てを揃えておきながら、コメディアンによるコメディー・トラックがなかったというのが、新しさ(?)かな。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・ヴィジャイ(ヴィジャイ・クマール役) ★★★★☆
 すごくカッコよかった。私がヴィジャイの作品を初めて観たのは2007年の【Azhagiya Tamilmagan】で、その後数年は彼の不振期だっただけに、なかなかヴィジャイを高く評価することができなかったが、【Thuppakki】(12)以降はすごく決まっている。本作もいろいろな面で魅せていたが、父親役というのを無理なくこなせていたのが良かった。それと、上でコメディアンがいないと書いたが、ヴィジャイのコメディーセンスがそれを十分補っていた。
 (写真下: いろいろ面白いシーンはあったが、この小学校5年級の授業は傑作だ。)

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・サマンタ(ミトラ役) ★★☆☆☆
 医大生から若妻という役をきちんとこなしていたが、あまり目立っている印象もなかった。
 (写真下: 整形顔になってしまったのが残念。)

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・エイミー・ジャクソン(アニー役) ★★☆☆☆
 こちらも地味すぎる使われ方だった。【I】(15)でシャンカル監督が彼女を舐め回すように撮ったのとは対照的だった。気の毒に思ったのか、エンドロールのソングでは彼女のダンスがメインだった。
 (写真下: ヅラか?)

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・ベイビー・ナイニカー(ニヴィ役) ★★★★☆
 幼稚園児に4つ星付けるなと言われそうだが、まぁ、ご祝儀で。

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・J・マヘンドラン(ワナマーマライ役) ★★☆☆☆
 誰、この下手くそなジジイ、と思いながら見ていたが、有名なストーリー/脚本作家、映画監督ということだった。これは失礼。役者としてはデビューになるらしい。レビューでは評価が高いが、私的にはどうも、、。

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・ラージェンドラン(ラージェンドラン役) ★★★☆☆
 このお方がタミル映画界のレジェンド、シヴァージ・ガネーサンの息子のプラブより重要な役を演じる日が来ようとは!

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★★☆
◎ ダンス : ★★★☆☆
・BGMは良かったと思うが、歌にはも一つ惹かれるものを感じなかった。ヴィジャイのダンスも何だか控えめ。

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★★☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆
・アクション映画のジャンルに入れたが、そういえばそれほど凄いアクション・シーンはなかった。一番派手なアクション・シーンが児童乞食の元締めヤクザたちとの立ち回りという、主筋とは関係のないものだった。クライマックスがやっぱり弱い。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 5月1日(日),公開第3週目
・映画館 : PVR (Forum, Koramangala),12:15のショー
・満席率 : 9割
・場内沸き度 : ★★★★☆
・備 考 : 英語字幕付き

 (オマケ画像: やっぱり助監督にしか見えないアトリ監督。)

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