カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Jackson Durai】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2016/07/13 19:21   >>

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 この週末は特にそそる南インド映画がなく、1週お休みしようかと思ったほどだが、思い直して、このB級感漂うホラー・コメディーの【Jackson Durai】を観て来た。いや、ヒンディー映画には良さげなのが複数あり、それを蹴って、こういう映画を観ていていいのかなぁ、という自問はある。もちろん良い映画を観たいのはやまやまだが、しかし縁あって南インドに暮らすことになり、「北の秀作よりは、駄作でも南を優先する」という立場を取っている以上、この選択に自信を持ちたい。
 ただ、この映画にも関心を引く点はあった。名性格俳優のサティヤラージと、特にメークをしなくても通用しそうなラージェンドランが幽霊の役をやるということで、意外に面白い映画になるかもしれないという期待はあった。
 監督はダラニダランという人で、デビュー作の【Burma】(14)で注目されたようだ。

【Jackson Durai】 (2016 : Tamil)
脚本・監督 : Dharanidharan
出演 : Sathyaraj, Sibiraj, Bindu Madhavi, Karunakaran, Rajendran, Zachary Coffin, Yogi Babu, Shanmuga Sundaram, Neha, "Mahanadhi" Shankar
音楽 : Siddharth Vipin
撮影 : Yuvraj
編集 : Vivek Harshan
制作 : M.S. Sharavanan

題名の意味 : ジャクソンとドゥライ
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ホラー・コメディー
公 開 日 : 7月1日(金)
上映時間 : 2時間14分

《 あらすじ 》
 アヤンプラム村にイギリス統治時代にジャクソン(Zachary Coffin)というイギリス官吏が暮らしていた屋敷があった。そこはすっかり廃屋となっていたが、凶悪な幽霊が出るということで、村人が困っていた。警察は調査のため、まったく業績のないダメな警官サティヤ(Sibiraj)を現地に送り込む。
 サティヤは調査を進める過程で村長(Shanmuga Sundaram)の娘ヴィジ(Bindu Madhavi)に惚れてしまう。そこで早速プロポーズしに村長に会いに行くが、実はヴィジのいとこのヴィーラ(Karunakaran)も彼女を狙っていることが分かる。村長は困惑し、二人をジャクソン邸に7日間滞在させ、生き残ったほうをヴィジと結婚させると告げる。
 サティヤとヴィーラはヴィジをかけてジャクソン邸に乗り込む。そして、早速数々の怪奇現象に直面する。
 二人が冷静に観察した結果、この屋敷には多数の幽霊が憑いているが、2つのグループに分かれることが分かる。1つはジャクソンとその家族(妻マーリと息子)、それに彼の手下のインド人たちで、これには官憲のブラッドリー(Rajendran)も含まれていた。もう1つはドゥライ(Sathyaraj)という村人とその仲間たちだった。ドゥライは反イギリスの闘志で、ジャクソンの村人たちへの悪行に敢然と立ち向かっている人物だった。そして、その闘いの果てに、この屋敷でジャクソンの一派もドゥライの仲間もすべて死亡し、地縛霊となっていたわけである。
 サティヤとヴィーラは、この二派が今もなおこの屋敷で闘いを続けていることを知り、ドゥライの側を支援しようとする、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★☆☆☆
◎ 脚 本 : ★☆☆☆☆
・意外な佳作を期待したが、滑ってしまった。やはり主要登場人物が禿げというのには要注意だったな。

・怖くないとか、ジョークが滑るとかいうより、ストーリーがよく分からなかった。特に終盤はどたばたして、何が何だか。「ジャクソン邸に7日間滞在して、生き残ったほうに娘をやる」という話だったが、そんなことすっかり忘れ去られていたぞ。

・しかし、物語のアイデアは面白い。ホラー映画とインド独立運動の物語を組み合わせ、幽霊になっても反英闘争を続け、結果、イギリス人を打ち負かして成仏するというものだった。このアイデアならもっと面白い映画ができそうなので、残念だなぁ。

・幽霊のキャラクターもユニークだった。インド・ホラー映画の多くは女性が幽霊となり、現世の人物(たいてい男性)に祟る(復讐する)という設定が多いが、本作では男(しかも、わんさか)が幽霊。そして敵同士も幽霊で、幽霊同士が争うというもの。この戦いの様子が面白い。晩の9時になると両者の戦いが始まり、最終的に全滅するというドラマが、まるで映画のようにぴったり同じに夜な夜な繰り返されるというもので、「おお、これは永劫回帰じゃないか」と唸った。

・ドゥライ(Sathyaraj)とブラッドリー(Rajendran)の他に、イギリス人ジャクソン(Zachary Coffin)の幽霊も禿げ頭と、禿げ幽霊を3体揃えたところに監督のこだわりを感じた。(しかし、玉子頭の幽霊というのは【Kanchana-2】で使われたアイデアだしなぁ。)

・チープなホラー・コメディーということで、せめて【Yaamirukka Bayamey】(14)ぐらいに面白ければいいのだが、残念だった。しかし、下のようなイメージ(ジャクソンの亡霊)を見てそそる人なら、本作は観てもいいかも。

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・それにしても、10年前までは南インド映画と言えば、車がぶっ飛ぶとか、人がくるくる宙を舞ってガラスがバリーンとかいうアクション映画が主流だったが、今映画館を賑わしているのはホラーかスリラー。もう「ギャー!」系の映画はうんざりだ。こういうくすんだ色調の、薄暗い映画が多発するのは、やはり何らかの時代性が反映されているんだろうね。私的には、インド映画にとって好ましくない状況だと思うのだが。

・特に、インド映画が大切にしてきたヒロイズムという観点では、ホラーやスリラーはほとんど効きが悪い。すると、インド映画が保ってきた倫理性ががたがたと崩れていくようで、それでいいのか、とインド人に代わって心配する。いや、今やノーモア・ヒーローズの時代なのだろう。対して、片や神様映画がすっかり衰退してしまった事実を見ると、ホラーが隆盛する背景には、インド社会の世俗化ということもあるのだろう。

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・サティヤラージ(ドゥライ役) ★★★☆☆
 渋みのある幽霊で、悪くなかったが、やはりこの名優にやらせるキャラクターじゃなかった。

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 生前の反英戦士時代のカッコいいスチルも。

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・シビラージ(サティヤ役) ★★☆☆☆
 上のサティヤラージの息子。パッと見て分かるほどそっくり。しかし、俳優としての力量はそっくりじゃなかった。
 (写真下: ヒロインのビンドゥ・マーダヴィと。)

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・ビンドゥ・マーダヴィ(ヴィジ役) ★★☆☆☆
 キリスト教徒の村娘の役で、良かったが、出番が少なすぎ。

・ラージェンドラン(ブラッドリー役) ★★☆☆☆
 幽霊役ということで、仄かに大化けを期待したが、メイクが違う以外、いつものラージェンドラン・スタイルだった。不器用なヤツ。

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・ザッカリー・コーフィン(ジャクソン役) ★★☆☆☆
 こいつは何だか面白かった。これからもインドで頑張るつもりだろうか(こちら)。

◎ 音 楽 : ★☆☆☆☆
◎ BGM : ★★☆☆☆
・歌は1曲だけで、コメントのし様のない代物。BGMはまだましだった。

◎ アクション : ★★☆☆☆
◎ 美 術 : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★☆☆☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 特殊効果 : ★☆☆☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・物語の舞台のアヤンプラムはセーラムの田舎の村と設定されているようだったが、映画中のセーラムは里程標も「SELAM」と綴られ、タミル語表記も「シーラム」と読めるものだった。なので、セーラム(Salem)とは別の、たぶん架空の土地なのだろう。

◆ 完成度 : ★★☆☆☆
◆ 満足度 : ★☆☆☆☆
◆ 必見度 : ★☆☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 7月10日(日),公開第2週目
・映画館 : Sangeet,11:30のショー
・満席率 : 1割以下
・場内沸き度 : ★☆☆☆☆

 

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