カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Raajakumara】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2017/03/31 20:33   >>

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 プニート・ラージクマールのこの新作は、トレイラーが月並みを絵に描いたような内容を示唆するものだったので、こんな映画、今どき観たがる人がいるのかなぁと思っていたら、公開後、やたら評判が良い。もっとも、プニートの映画だから、強大なファン層に支えられて、内容が貧しくてもさしあたっては好意的な評価が並ぶ。しかし、監督が【Mr & Mrs Ramachari】(14)で成功したサントーシュ・アーナンドラームだから、もしかして本当に面白いのかもしれない、などと考えながら、後回しにせず観に行った。

【Raajakumara】 (2017 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : Santhosh Ananddram
出演 : Puneeth Rajkumar, Priya Anand, R. Sarath Kumar, Prakash Raj, Ananth Nag, Achyuth Kumar, Avinash, Rangayana Raghu, Chikkanna, Sadhu Kokila, H.G. Dattatreya, Bhargavi Narayan, Vijayalakshmi Singh, Chitra Shenoy, Honnavalli Krishna, Anil, K.P. Sridhar, Ashok, Rockline Sudhakar, 他
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Venkatesh Anguraj
編集 : K.M. Prakash
制作 : Vijay Kiragandur

題名の意味 : 王子
映倫認証 : U/A
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ/アクション
公 開 日 : 3月24日(金)
上映時間 : 2時間28分

《 あらすじ 》
 アップこと、シッダールト(Puneeth)はオーストラリアのシドニーに暮らすNRI。父は裕福な実業家のアショーク(R. Sarath Kumar)で、シッダールトも同じ会社で父のサポートをしていた。この父子はビジネスだけでなく、オーストラリアに暮らすインド人の地位向上のために尽力し、「インド人ヘルプライン」という相談窓口も運営していた。
 シッダールトはある日、ヘルプラインに電話してきたナンディニ(Priya Anand)という女性と会う。彼女はサルサのオーディションのためにオーストラリアへ来ていたが、ダンスパートナーがいないために参加できない、そこでシッダールトにパートナーになってくれという依頼だった。シッダールトは渋々引き受けるが、結果的にナンディニに一目惚れする。ナンディニも同じ気持ちで、二人は結婚も考える。だが、ちょうどその頃、父アショークは友人ジャガディーシュ(Avinash)の娘とシッダールトを結婚させる話を決めてしまう。父の意思に逆らえないシッダールトはナンディニと別れる決意をする。しかし、何てことはない、実はジャガディーシュの娘というのはナンディニで、すぐさま二人の結婚が認められる。
 そうした祝儀気分の中、さらにビジネス面でもアショークの会社のプロジェクトが採択され、お祝いのためにシッダールトを除く家族全員が旅行に出かけた際に、飛行機(専用機)が墜落し、シッダールトは一人ぼっちとなってしまう。
 ガンジス河に家族の遺灰を流した後、シッダールトは自分のルーツを辿って、故郷カルナータカ州の孤児院へと向かう。実はシッダールトは孤児で、子供のころにアショークに引き取られていたというわけだった。その孤児院は今は老人ホームに変わっていたが、経営者のクリシュナ(Achyuth Kumar)は変わっていなかった。シッダールトはこの老人ホームにしばらく滞在することにする。
 シッダールトはナンディニやその父ジャガディーシュと再会する。だがジャガディーシュの口から良くない話を聞かされる。それは不良なポリオワクチンの使用により子供たちに甚大な被害が出ており、厚生大臣のシュリーダル(K.P. Sridhar)が更迭、逮捕されるという事件が起きていたが、この薬品ビジネスに故アショークも関与していたということだったのである。これが信じられないシッダールトは、父の汚名を晴らす決意をする。
 新たに厚生大臣に就任することが決まっていたジャガンナート(Prakash Raj)がクリシュナの老人ホームを訪問する。その際に、このホームの入所者の一人、ヴィシュワ・ジョーシュ(Ananth Nag)という老人が不審な動きをする。シッダールトがその訳を問うと、実はヴィシュワはジャガンナートの実父で、ポリオワクチン事件はジャガンナート自身がシュリーダル大臣を蹴落とすために仕組んだ不正で、その事実を知る自分が息子の目を逃れるためにこのホームに身を寄せていた、というわけだった。
 父ヴィシュワが老人ホームにいることを知ったジャガンナートは、ヤクザを使ってホームを襲撃させる。シッダールトはホームの老人たちを守り、父の汚名を晴らすために、ジャガンナートと対決する覚悟を決める、、。

・その他の登場人物 : ヴェンキー(Rangayana Raghu),チッカンナ(Chikkanna),ムハンマド・ラフィー(H.G. Dattatreya),アントニー・ゴンザルウェス(Sadhu Kokila)

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★☆☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★☆☆
・不覚にも、数カ所で泣いてしまった。何と言うか、観客の情をうまく突くものがあった。プニートの前2作、【Chakravyuha】(16)と【Doddmane Hudga】(16)はプニートの主演作にしては客の入りが悪かったが、本作は大ヒット間違いなし。

・しかし、私はけっこう感動したが、これが多くの日本人に勧められるかと言うと、全然そうではない。純度100%でインド人、否、カンナダ人のために作られた映画で、簡単に言って、カンナダのレジェンド、ラージクマールについてある程度親しんでおり、説教くさいカンナダ映画を観てもアレルギーが出ない人以外、本作が楽しめる日本人はいないと断言する。(私がこれを観て泣けたというのは、そう思いたくないが、またカンナダ人側もそう思っていないだろうが、私が7割がたカンナダ人化しているということだろう。)

・冒頭からドン引きポイントと思われるシーンがある。クリケットのオーストラリア対インド戦が行われたスタジアムの外で、勝利に喜ぶインド人に対してオーストラリア人が喧嘩を吹っかけ、インド国旗を倒そうとするところにシッダールト(Puneeth)が現れ、オーストラリア人をぼこぼこにした上に「インドとインド人をリスペクトしろ」と言う。これはインド人ならすっきりするだろうが、非インド人(特にオーストラリア人)はすっきりしないだろうなぁ。

・しかし、近ごろオーストラリアではインド人差別に絡む事件(カレー・バッシング)が多発しているので、ここでこういうことを訴えたいインド人の気持ちが分からないでもない。また、劇中に出て来た「Indian Helpline」というのが、実際にあるものかどうかは知らないが、あっても不思議じゃないだろう。

・脚本はやや変則的で、前半のオーストラリア編と後半のインド(たぶんベンガルール)の老人ホーム編でがらりと変わる上、悪役のジャガンナート厚生大臣候補(Prakash Raj)がストーリーの6分目辺りになってやっと出てくる。

・物語は徹底して家族のセンチメント、特に父子のセンチメントで貫かれている。シッダールトはそもそも孤児だったが、アショーク夫妻に引き取られ、実の家族以上に強い愛情で結ばれる。しかし飛行機事故で家族全員を失い、再び孤児となる。そこで自分のルーツである孤児院を思い出し、再訪してみたら、そこは老人ホームに変わっていた。そのホームの入所者は全て何らかの理由で息子/娘に捨てられた境遇の老人たちで、家族を失ってさらに家族の有り難みを知ったシッダールトは入所者たちの家族問題を片付けようと動く(あらすじには書かなかったが、ここで「善い話」が連発し、これも一般的な日本人鑑賞者は耐え難いかも)。面白いのは、悪役のジャガンナート厚生大臣候補を改心させる手段にも父子センチメントが使われているという、超強力な家族ドラマであった。

【Ambareesha】(14)鑑賞記の中で、インド映画には物語中の役としてのヒーローを楽しむだけでなく、そのヒーローを演じるスターその人をも愛でるという二重構造があると書いたが、本作はその典型だった(もっとも「スターその人」というのは、スターとして一般的に知られている限りのペルソナであって、その俳優の実生活上の姿ではない)。本作でのプニートは、シッダールトという役上の人物であるだけでなく、プニート自身への、加えて父ラージクマールへの関連付けが随所にあった(特に【Kasturi Nivasa】)。それで、このラージクマール&プニートという線でも父子関係というモチーフが使われていた。(ラージクマールのファンはここでうるっと来る。)

・先日の【Hebbuli】に続いて、本作でも医療問題がモチーフとなり、厚生大臣が悪役だった。これは単なる偶然か?

◎ 配 役 : ★★★☆☆
◎ 演 技
・プニート・ラージクマール(シッダールト役) ★★★☆☆
 プニートらしい台詞回し、アクション、ダンスで、特に言うべきことはないが、変わらぬプニートが見られて、ファンはうれしいだろう。それにしても、こう毎度毎度モラルの塊みたいな台詞を発していて、そのうち発狂しちゃわないかな。

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・プリヤー・アーナンド(ナンディニ役) ★★★☆☆
 【Hebbuli】のアマラ・ポールに続いて、このお方もサンダルウッド・デビュー。カンナダ映画に出るということは女優としてのキャリアの落ち目を意味するが、私的には大歓迎。可愛かったですよ〜。色っぽくなっていたし。ただ、サルサ・ダンサーという設定はどうも、、。
 (写真下: 撮影の合間のセルフィー?)

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・サラト・クマール(アショーク役) ★★★☆☆
 カッコよかった。カンナダ語の台詞もセルフダビングしている。
 (写真下: 胸に誇らしげに付けられているインド国旗のバッジに注目。)

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・脇役陣はすごく豪華。プラカーシュ・ラージはエレガント。アナント・ナーグは老人ホームの入所者の中でひときわ光っていた。アチュート・クマールはこうした善い人の役がやっぱり似合う。ダッタットレーヤはビールも飲むというイスラーム教徒の不良老人の役だった。

・コメディアンは、前半のランガーヤナ・ラグと後半のチッカンナはどちらも抑えの効いた使われ方で良かったのに、サードゥ・コーキラ(ゴアの観光ガイド役)だけが騒々しいパターンで、浮いていた。総じて、あのゴア旅行のシーンを見て、ゴアへ行く気が失せてしまった。

・【Hebbuli】でも言及した、死亡した悪役俳優のアニルが本作でも元気に出演していた。

◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★★☆☆
◎ ダンス : ★★★☆☆

◎ アクション : ★★★☆☆
◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★☆☆☆

◎ その他(覚書)
・物語中のシッダールトは「アップ」というニックネームだったが、これはプニートの実際のニックネーム。「アップ」に具体的な意味はないが、小さい男の子に対する呼び方で、プニートが三人兄弟の末っ子だったことから、このペットネームが付けられたらしい。

・サードゥ・コーキラ演じるゴアの観光ガイドのおかげで、ゴアにはオールド・ゴア、ニュー・ゴア、アー・ゴア(あのゴア = いけない遊びが楽しめるゴア)の3つに区分されることが分かった。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★☆☆
◆ 必見度 : ★★☆☆☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 3月29日(水),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),10:00のショー
・満席率 : 4割
・場内沸き度 : ★★★☆☆

 

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