カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Ondu Motteya Kathe】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2017/07/11 20:56   >>

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 ネット上で上のような禿頭をデザインしたポスターを見たときは、それだけで異色作の香りがし、興味が湧いたが、【Lucia】(13)のパワン・クマールが製作者として支援していると知り、ますます観る気になった。
 監督のラージ・B・シェッティは新人で、本作では自ら主人公の禿の人物を演じている。「シェッティ」という名前からして、出自が西海岸のバント族だということが推測されるが、実際にマンガルールの出身らしい。以前にどこかでカルナータカ州の西海岸は監督、音楽監督、俳優など、有能なタレントを輩出していると書いたが、最近ではラクシト・シェッティ、リシャブ・シェッティがいる。この禿男は「第三のシェッティ」になることができるか。

【Ondu Motteya Kathe】 (2017 : Kannada)
脚本・監督 : Raj B. Shetty
出演 : Raj B. Shetty, Shailashree Mulki, Amrutha Naik, Shreya Anchan, Prakash Thuminadu, Usha Bhandary, VJ Vineeth, Deepak Rai Panaje, Mime Ramdas, Vishwanath, 他
音楽 : Mithun Mukundan
撮影 : Praveen Shriyan
編集 : Praveen Shriyan
製作 : Suhan Prasad Kulal, Pawan Kumar

題名の意味 : ある禿頭の物語
映倫認証 : U
タ イ プ : オリジナル
ジャンル : ドラマ
公 開 日 : 7月7日(金)
上映時間 : 2時間4分

《 あらすじ 》
 マンガルールに暮らすジャナルダン(Raj B. Shetty)はカレッジのカンナダ語講師。カンナダ語と俳優ラージクマールを強く愛していた。28歳で未婚の彼は、ある日、占星術師(Deepak Rai Panaje)から「29歳までに結婚しなかったら、生涯独身者としての人生を送る」との予言を受ける。両親(Vishwanath & Usha Bhandary)はせっせと彼に見合いをさせるが、うまく行かない。それと言うのも、ジャナルダンは若禿だったからである。この頭のせいで、彼は学校でも生徒たちにからかわれていた。
 ジャナルダンは結婚ブローカーに、結婚が難しい理由として「1つは禿であること、もう1つはカンナダ語教師であること」を指摘され、立腹し、自力で結婚相手を探すことにする。彼はまず身近なところから、つまり同僚の経済学の講師(Amrutha Naik)に目を付ける。幸せな結婚生活を送っているピオンのシュリーニワース(Prakash Thuminadu)にアドバイスを乞い、経済学講師に接近した結果、友好的な関係となる。それで、ラブレターも用意してプロポーズしようとするが、タイミング悪く、ハンサムで頭髪も強い英語講師が着任し、経済学講師もそちらに靡く。

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 失望したジャナルダンは情欲に打ち克とうと、瞑想と禁欲生活を開始するが、そこへお色気たっぷりの美人(Shreya Anchan)が現れる。ジャナルダンは無視するが、意外なことに彼女のほうから積極的に接近して来、ある時、「あなたはもっとハンサムになれる。私といれば」と告げられ、有頂天になる。そして母や弟(VJ Vineeth)にも彼女の存在を告げる。しかし何てことはない、彼女は植毛会社の幹部だったのである。
 ジャナルダンは今度はFasebookの友達リストから、学校時代の友達サララ・ジャーヌ(Shailashree Mulki)にメッセージを入れ、会うことにする。ところが、実際に会ってみると、サララは昔と違ってでっぷり太っており、失望する。それはサララにとっても同じで、まさか禿が来るとは思っていなかった。二人はこれっきりにし、「ベストフレンドということで」と別れようとするが、その時ジャナルダンの母と遭遇してしまい、サララは彼の家まで連れて行かれる。母はサララのことをジャナルダンが以前に告げた女性のことだと早合点し、「息子があんなに美しい人は見たことがない、彼女と結婚したいと言っていた」と言ってしまう。それで、サララはジャナルダンのことを容姿じゃなく、人柄を愛してくれる良い人だと思い、彼との結婚を決意する。だが困ったことに、ジャナルダンはサララの容姿も人柄も愛せそうにないと感じていた、、。

   *    *    *    *

◎ テーマ : ★★★★☆
◎ 物 語 : ★★★☆☆
◎ 脚 本 : ★★★★☆
・いかにパワン・クマールが推している映画だと言っても、所詮は地味な小品だろうと、大きな期待はせずに観たが、予想以上に面白かった。ハートのある映画だった。

・題名からして、「禿は結婚できないのか」という命題をあれこれ多面的に考察した映画かと予想したが、そうではなかった。主人公のジャナルダン(Raj B. Shetty)は確かに禿だが、一方でヒロインのサララ(Shailashree Mulki)はデブで、同じく結婚相手を探すのに苦労している。要は、容姿が結婚を阻害している事態をテーマとしたもので、これは他の身体的特徴(背が低いとか、肌が黒いとか、出っ歯とか)でも同様の物語が作れる。というわけで、禿でもデブでもない人でも、何らかのコンプレックスを持っている人なら、本作のペーソスは共感できるのではないだろうか。

・その身体的偏見に対して本作は「内なる美しさこそが」という結論を提示している。すごく当たり前で、それ自身に新鮮味はないが、それでもホロリとさせるところが本作の良いところ。

・個人的に、「男の禿、女のデブ」がこんなふうにテーマとされることが興味深かった。もちろん、「禿/デブ」というのが茶化しの対象になるのは普通に観察されるところだが、ムンバイやデリーではいざ知らず、こと南インドでは、そうした身体的特徴はあまり結婚へのハンデになっていないが事実だからである。私の個人的な経験では、確かに若禿の男子に対して友人が「君、あと3年以内に結婚しないと、困るよ」とか言っているのを時おり見かけるが、しかし結婚式で、新郎が禿げている場合に、私が「新郎は禿ですね」と言っても、まず「それが問題ですか」と返ってくる。女のデブに対してはもっと寛容で、実は太った女性が好きという南インド男子は、、、かなりいる。それなのに、こうした映画(テルグ映画の【Size Zero】なども)が作られることからすると、南インドもある一線を越えちゃったのかな、と感じた。

・しかし、どうも本作がすっきりしないのは、監督のラージ・B・シェッティは身体的特徴による結婚の阻害を描いていながら、彼自身が演じるジャナルダンはと言えば、この男が結婚できないのは「禿」のせいではないだろう、と思えるからである。もっとこう、禿以前に体全体から発しているキモさとか、カンナダ語オタクなキャラクターとかもあると思うし、決定的なのは「カンナダ語教師」という職業だ。もしジャナルダンがソフトウェア技術者で、6桁ルピーの月給をもらっている人物なら、禿であろうと簡単に結婚できる。

・というわけで、個人的にはこの「カンナダ語教師の悲哀」というテーマをもっと掘り下げてほしかったが、そうなると全く違った映画になってしまい、まずいのであろう。

・さらに本作の良い点は、コメディー的要素が素直に笑えるということだ。ジョークや風刺が「あるある」な感じで、非常に良い。(面白い箇所はたくさんあったので、いちいち例示しない。)

・もう1点、本作は思いがけず「ラージクマール賛歌」の作品だった。主人公の行動の動機や感情を描くのにラージクマール映画の歌や台詞の一節が巧みに引用されていて、ありきたりになりがちなストーリーに付加価値を添えていた。それと同時に「カンナダ(語)といえばラージクマール」とジャナルダンが表明するとおり、【Lucia】や【Pancharangi】(10)のように「カンナダ(語)愛」に満ちた映画だった。

◎ 配 役 : ★★★★☆
◎ 演 技
・ラージ・B・シェッティ(ジャナルダン役) ★★★☆☆
 自分は禿による悲哀をさんざ味わっていながら、しかし可愛い女の人と結婚したいと考える、身勝手なアカン男をまずまず好演している。しかし、なぜジャナルダンが外見の良い女性にこだわったのか(自然的な欲求によるものなのか、特別な理由があるのか)がきちんと描かれていないように見えた。

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・シャイラシュリー・ムルキ(サララ・ジャーヌ役) ★★★☆☆
 「たとえ4日でもかまいません」という台詞が泣かせた。デブで醜いという設定だったが、私が見る限り、ぜんぜんOKじゃん、と思った。これぐらいの器量の女性が結婚できないで困っているというのが今のインドの現実なら、私、一人ぐらい面倒見るぜ。それはさて置き、この女優の名前の「Mulki」というのはダクシナ・カンナダ県にある村の名称だと思われるので、おそらく彼女も西海岸の出身だろう。

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・アムルタ・ナーイク(経済学講師役) ★★★☆☆
 地味な低予算映画に違いないが、意外に可愛い女優が登場し、お得だった。もっとも、このアムルタ・ナーイクさんもごく普通の娘さんで、映画のヒロインとしてやっていくのは難しいと思うが、私的には、ぜんぜんOKじゃん、と思った。

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・シュレーヤー・アンチャン(植毛会社の幹部役) ★★★☆☆
 最もけばい感じの、インド映画らしいムードを醸していたのはこのシュレーヤー・アンチャンさん。知らない人だが、マンガルールの出身らしい。

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・プラカーシュ・トゥミナード(シュリーニワース役) ★★★☆☆
 ピオンの役で、単にコメディアン的な役回りだろうと思っていたら、終盤で意外な感動ポイントを作っており、好印象(写真下の右)。

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◎ 音 楽 : ★★★☆☆
◎ BGM : ★★☆☆☆
・音楽シーンは素朴な作りだが、悪くない。1曲目はジャナルダンを含む「ボールディーズ」というグループの歌だったが、どこか自虐的で気味悪かった。

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◎ 衣 装 : ★★★☆☆
◎ 撮 影 : ★★★☆☆
◎ 編 集 : ★★★☆☆

◎ その他(覚書)
・本作も【Lucia】と同様、最後が「シュバム(Shubham)」で終わる映画だった。

◆ 完成度 : ★★★☆☆
◆ 満足度 : ★★★★☆
◆ 必見度 : ★★★★☆

◆ 鑑賞データ
・鑑賞日 : 7月8日(土),公開第1週目
・映画館 : Gopalan Cinemas (Arch Mall),10:00のショー
・満席率 : 6割
・場内沸き度 : ★★★☆☆
・備 考 : 英語字幕付き

 

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